Gemini Robotics On-Device 2は、カメラ画像、指示、ロボットの自己状態から数値の動作を出すVLAです。推論を機体側で行うため、ネットワークが不安定な環境や応答時間を抑えたい操作に向きます。
ただし「ローカルで動く」と「誰でもダウンロードできる」は別です。2026年8月6日時点の提供先はTrusted Testersで、公開Gemini APIのモデルではありません。ロボット向けエッジAIの具体例として読むと位置づけが分かります。
On-Device 2は動作を出すローカルVLA
Google DeepMindのモデルカードは、On-Device 2をオンデバイスGemmaとGemini Robotics 1.5の技術を基盤とするVLAと説明しています。入力はテキスト、画像、数値の自己状態、出力は数値のロボット行動です。
ここがER 2との決定的な違いです。ER 2は計画や関数呼び出しを返す上位VLM、On-Device 2は機体上で動作を生成する行動モデルです。VLAとVLMの違いを出力形式から比べると混同しません。
On-Device 2だけで安全なロボットが完成するわけでもありません。低水準制御、状態推定、関節制限、衝突監視、非常停止は別の層として必要です。
| 比較 | On-Device 2 | ER 2 |
|---|---|---|
| 種別 | VLA | VLM |
| 実行場所 | ロボット上 | Gemini API |
| 入力 | 指示、画像、自己状態 | 指示、画像、動画、音声 |
| 出力 | 数値のロボット行動 | テキスト、関数呼び出し |
| 提供範囲 | Trusted Testers | 公開プレビュー |
オンデバイスである意味
クラウドへ映像を送り、結果を待ってから動く構成では、通信遅延や回線断が操作に影響します。機体上の推論なら、ネットワーク条件に左右されにくく、映像を外部へ送る量も減らせます。
一方で、計算資源、電力、発熱、モデル容量に上限があります。ローカル実行だから必ず低遅延とは限らず、カメラ周期、前処理、推論時間、制御周期を実機で測る必要があります。
完全なオフライン運用も自動的には保証されません。モデルの配布、更新、ログ収集、遠隔監視など、システム全体でネットワークを使う箇所を分けて確認します。
| 観点 | 機体上で推論する利点 | 確認すべき制約 |
|---|---|---|
| 通信 | 回線変動の影響を抑える | 更新や監視の接続は別 |
| 遅延 | クラウド往復を省く | 端末の推論時間を実測 |
| データ | 外部送信を減らせる | ログと学習データの経路を確認 |
| 運用 | 現場で動作を継続しやすい | 電力、熱、メモリに上限 |
200件未満の例で適応したという発表の読み方
Google DeepMindのOn-Device 2紹介ページは、新しいロボットへ200件未満の例、数時間の学習で適応したと説明しています。少ない実演から機体固有の動きを学ぶ方向性は、データ収集コストを下げる可能性があります。
ただし「200件あれば何でも学べる」という意味ではありません。作業のばらつき、カメラ位置、関節数、把持対象、実演者の質が変われば必要量も変わります。Googleの条件で得た結果として扱います。
検証では例の件数より、失敗条件が含まれているかを見ます。対象物の位置、照明、背景、滑り、把持失敗、回復動作を分け、未学習条件での性能を測るべきです。

得意領域とモデルカードにある限界
モデルカードが想定する中心用途は、双腕ロボットによる操作です。物を扱う作業でテキスト指示と視覚を動作へ結びつける設計で、あらゆる移動ロボットや全身制御を対象にした万能モデルとは書かれていません。
既知の限界には、学習分布から外れた作業と、高自由度ロボットへの一般化があります。ロボットの身体、センサー、制御周波数が変われば、追加データや調整が必要です。
公開された評価もシミュレーションと実ロボット上の特定条件です。安全層を重ねた設計は示されていますが、人の近くで自由に使えることや、移動を含む全身動作の安全を証明するものではありません。
| 項目 | 公式情報から言えること | 言えないこと |
|---|---|---|
| 適用対象 | 双腕操作が中心 | 全ロボットへの汎用性 |
| 適応 | 少数例での社内結果 | 常に200件未満で十分 |
| 安全 | 多層の安全設計を評価 | 安全認証済み |
| 公開 | Trusted Testersへ提供 | 一般向けAPI・重み配布 |
現在のアクセスはTrusted Testersに限られる
On-Device 2の公式ページにはTrusted Testersへの参加導線があります。一般開発者がAI StudioでモデルIDを選び、すぐAPIを呼ぶ形ではありません。参加にはGoogle側の選定と個別の提供条件が伴います。
GoogleのフィジカルAI全体像では、公開プレビューのER 2と、限定提供のOn-Device 2を分けて整理しています。名前が同じ世代でも公開状態は異なります。
試験参加を検討する組織は、対象ロボット、作業、データ収集方法、搭載計算機、安全設備、評価指標を先に用意すると、技術適合性を具体的に説明できます。

導入候補として評価する順序
最初に、クラウド往復が課題なのか、行動方策そのものが課題なのかを切り分けます。高水準の計画が必要ならGemini Robotics ER 2、機体上の動作生成が必要ならOn-Device 2の役割に近づきます。
次に、遅延、消費電力、熱、成功率、介入率を同じ作業で測ります。平均成功率だけでなく、最悪遅延、連続失敗、未知物体、人の接近時の挙動を記録します。
最後に独立した安全系を確認します。学習モデルの出力範囲を制限し、関節・速度・力の上限、監視停止、物理非常停止を置きます。ローカルVLAは制御構成の一部であり、安全責任を代替しません。
よくある質問
Gemini Robotics On-Device 2はオフラインで動きますか?
推論はロボット上で行う設計で、ネットワーク制約のある環境を想定しています。ただし配布、更新、監視まで完全にオフラインかは提供構成ごとに確認が必要です。
On-Device 2は一般開発者がダウンロードできますか?
2026年8月6日時点ではできません。提供はTrusted Testers向けで、公開Gemini APIや一般配布モデルとして案内されていません。
200件の実演があれば新しいロボットに適応できますか?
Googleは200件未満の例で適応した結果を示しましたが、すべての機体や作業への保証ではありません。自由度、センサー、作業の幅、データ品質で必要量は変わります。
確認した公式情報
- Google DeepMind:Gemini Robotics On-Device 2
- Google DeepMind:On-Device 2モデルカード
- Google:Gemini Robotics ER 2発表
- Google DeepMind:Gemini Robotics 2安全性レポート
最終確認:2026年8月6日