協働ロボットとは?80W規制と柵なしの条件、主要メーカーの機種、価格と補助金(2026年)

協働ロボット(コボット)とは、安全柵を置かずに人と同じ作業空間で動かせるよう、力の制限や速度監視などの安全機能を備えた産業用ロボットです。日本では定格出力80Wを超える産業用ロボットに柵や囲いなどの措置が求められますが、2013年12月の厚生労働省の通達改正で、リスクアセスメントで危険がないことを示すか、ISO 10218に適合させれば柵なしで人と協働させられるようになりました。主要メーカーの協働ロボットは可搬重量0.5kgから30kgまであり、本体の公式定価はどのメーカーも公開していません。

80Wの規制と2013年の通達改正:柵なしで使える条件

労働安全衛生規則第150条の4は、定格出力が80Wを超える産業用ロボットについて、運転中に労働者に危険が生じるおそれがあるとき「さく又は囲いを設ける等」の措置を求めています。厚生労働省は2013年12月24日付の通達(基発1224第2号)でこの条文の解釈を改め、厚生労働省のリーフレットで次の二つの道を示しました。

  • リスクアセスメントによる方法:リスクアセスメントの結果、ロボットとの接触で労働者に危険が生じるおそれがなくなったと評価できれば、柵や囲いは必須ではありません。
  • ISO 10218に適合させる方法:ISO 10218-1:2011と-2:2011に沿って設計・製造・設置し、技術ファイルと適合宣言書を作成したうえで、定められた条件で使用します。

同日付の留意事項通知には、力やエネルギーの制限を制御ではなく構造で保証する方法、周囲の構造物との間に500mm以上のすき間を確保する方法、挟まれた人を動力なしで手で救出できる設計などが例として挙がっています(三重労働局の通達掲載ページ)。80W以下のロボットはもともとこの条文の対象外です。

協働運転の4つの方式

ISO 10218とそれに対応するJIS B 8433は、人とロボットが同じ空間で作業する方法を4つに分けています。1台のロボットが複数の方式を組み合わせることもあります。

  1. 安全適合監視停止:人が協働作業空間に入るとロボットが停止したまま待ち、出ると再開します。2025年版では「monitored standstill」と呼び名が変わりました。
  2. ハンドガイド:作業者がロボットのアームを手で持って動かし、位置を教えたり運んだりします。
  3. 速度および間隔の監視:センサーで人との距離を測り、近づくほど減速し、一定距離で停止します。
  4. 動力および力の制限:接触しても人がけがをしない力と圧力にロボットの出力を抑えます。一般に「協働ロボット」と聞いて思い浮かべる、柵なしで人のすぐ横で動く使い方はこの方式です。

各方式の安全機能の詳細は協働ロボットの安全モード、力と圧力の確認方法は動力・力制限(PFL)の接触試験、距離による減速は速度と分離監視で解説しています。

ISO 10218:2025とJIS B 8433:規格はいまどの版か

国内の規格はJIS B 8433-1:2015とJIS B 8433-2:2015で、ISO 10218-1/-2の2011年版に対応します(日本ロボット工業会の規格一覧)。人との接触の力と圧力の目安は、ISO/TS 15066に対応するTS B 0033:2017にあります。

ISOは2025年2月5日にISO 10218-1:2025とISO 10218-2:2025を発行しました。2025年版では「協働ロボット」という機械の呼び方をやめ、「協働アプリケーション」として用途全体で安全を評価する考え方になり、ISO/TS 15066の協働に関する要求の多くが10218-2に取り込まれました。ISO/TS 15066自体は改訂作業中です。2025年版に対応するJISの改正は2026年10月時点で確認できていません。ロボットを組み込む側の責任の変化はISO 10218:2025とインテグレーターの責任にまとめています。

日本で買える主な協働ロボットメーカーと機種

可搬重量と到達距離は各メーカーの公式ページの値です。同じ可搬重量でも到達距離が大きく違うため、選ぶときは両方を見ます。

メーカーシリーズ機種の例(可搬重量/到達距離)
ファナックCRXCRX-3iA 3kg/692mm、CRX-10iA 10kg/1,249mm、CRX-30iA 30kg/1,756mm
安川電機MOTOMAN HCHC10DTP 10kg/1,200mm、HC20DTP 20kg/1,700mm、HC30PL 30kg/1,700mm
デンソーウェーブCOBOTTA、COBOTTA PROCOBOTTA 0.5kg/342.5mm、COBOTTA PRO 900 6kg、COBOTTA PRO 1300 12kg
川崎重工業duAro(双腕)duAro1 2kg/760mm、duAro2 3kg/785mm
不二越CZ、CMZCZ10 10kg/1,300mm、CMZ12 12kg/1,214mm
三菱電機MELFA ASSISTARV-5AS-D 5kg/910mm
ユニバーサルロボットe-Series、UR SeriesUR3e 3kg/500mm、UR20 20kg/1,750mm、UR30 30kg/1,300mm
オムロン(テックマン)TM STM5S 5kg/900mm、TM12S 12kg/1,300mm、TM30S 30kg/1,702mm
ABBGoFaCRB 15000 5kg/950mm

COBOTTAは片手で持てる約4kgの小型機で、卓上の組立や検査向けです。10kg前後は部品のピッキングやねじ締め、20〜30kgは段ボールのパレタイズや重い部品の搬送に使われます。ユニバーサルロボットのe-Seriesは2026年10月時点でUR5eとUR10eに代わってUR7eとUR12eを掲載しています。

協働ロボットの価格:本体よりシステム全体で考える

国内の主要メーカーは協働ロボット本体の定価を公表しておらず、デンソーウェーブのCOBOTTAも発売時からオープン価格です。公開されている目安は次のとおりで、いずれも見積もりの代わりにはなりません。

  • 本体の目安:エレコムは協働ロボットの解説ページで、本体価格を200万〜500万円程度、従来型産業用ロボットのシステムを1,000万〜1,500万円程度としています(販売会社による目安)。
  • レンタルの例:東京センチュリーは2019年に川崎重工業のduAroを月額25万円から(税別、6か月契約)でレンタル提供すると発表しました。現在の条件は提供元への確認が必要です。

実際の導入費用には、本体のほかにハンド(グリッパー)、架台、ビジョンなどの周辺機器、リスクアセスメントと安全確認、システムインテグレーター(SIer)の設計・立ち上げ費が加わります。見積もりを比べるときは、次の項目が同じ条件になっているかを確認します。

  • 機種名、可搬重量と到達距離、コントローラーとティーチングペンダントの有無
  • ハンド、架台、センサーなど周辺機器の範囲
  • リスクアセスメントと柵なし運用の安全確認を誰が行うか
  • サイクルタイムの前提(ワークの重さ、1時間あたりの個数、稼働時間)
  • 教育、保守、保証の期間と窓口

協働ロボット導入に使える補助金(2026年10月時点)

  • 中小企業省力化投資補助金(一般型):公式サイトによると第9回は11月上旬に公募開始、12月上旬に申請受付開始、12月下旬に締切の予定で、補助上限は最大1億円です。カタログ注文型の公式ページには「協働ロボット」という区分が見当たらないため、汎用の協働ロボットは一般型で検討するのが現実的です。
  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金:ものづくり補助金の後継制度で、第1回の申請締切は2026年10月30日18時(予定)です。機械装置・システム構築費が対象経費に入りますが、革新的新製品・サービス枠では設備の導入だけの事業は対象外です。

日本のロボットメーカーとNVIDIAなどによるフィジカルAIの取り組みは日本のフィジカルAI連携で、AIで動くロボット全体の考え方はフィジカルAIとはで紹介しています。

厚生労働省資料、ISO・日本ロボット工業会の規格情報、各メーカー公式ページ、補助金公式サイトを2026年10月25日に確認。